求人案内の力

昔、携帯販売の仕事をした。
携帯ショップの店員というやつだ。
まさか自分が携帯ショップの店員をやることになるとは露程も思わなかった。
自分がやる仕事ではないと思っていたのだ。

それは派遣会社からの仕事だったが、その派遣会社に入ったのは携帯販売の仕事がしたかったからではなかった。
募集自体はもっと曖昧で、仲間と一緒に考え、自分達で地域を調査し、目標を立てチームで仕事をするというようなものだった。

一応作業内容として「サンプリング」「ポスティング」と書かれていたような気もするが、そこは対して気にしてはいなかった。
募集サイトの中では明らかに異色で、私にとってはすごく輝いて見えた。
時給が高く、就業時間は短い。
単なる作業員のようなアルバイトではなく、今まで培ってきた自分の能力を活かせるようなそんな宣伝文に感じられた。

腰の重い私がすぐに応募するほどだった。
向こうからの折り返しもすぐにあり、翌日面接に向かうことになった。

結局、携帯ショップの店員をやる前にやった仕事は、思い描いていたような、また募集の文章にあったようなものではなく、普通のアルバイトにかなり近いものであったが、やりがいのある仕事だった。
その後、派遣登録している流れで携帯販売の仕事も行ったのだが、仕事内容に関しては特筆すべきことはない。

おもしろかったのは、そこに集まった人間であった。
派遣会社が出したなかなかの募集文章によって、集まってきたのは自分と似た考えを持つ、普通のアルバイトでは満足しない、何か夢のある人間ばかりだったのだ。

役者を目指している人、プロスポーツ選手、楽器奏者、若くして海外に出ようとしている人など本当に「レベル」の高い人達が集まったのだ。
実際の仕事は思ったものではなかったが、宣伝文章1つで集まる人間はこうも違うのだなと感じられた時間だった。

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